林真理子さん著の新刊「野心のすすめ」を読みました。
著者がお金も美貌もコネも何もない状態からいかにして今の地位まで昇りつめられたかを例に挙げながら、”低め安定”を望む若者が増えている日本でいかに”野心”を持って生きることが大切かを懇々と綴られているのですが、著者が目標に描かれていたものがブランドバッグだったり、ファーストクラスだったり、女子アナやCAだったり、、バブル的な発想で今の価値観とのズレを感じざるを得ませんでした。お金も社会的地位も結婚も出産も全部手に入れる勢いで努力されたのは尊敬に値するのかもしれませんが、”私もここまでつめたのだから、あなたたちももっと頑張れ!”と言われている気がして(実際そんな風に書かれている訳ではないのですが)、カツマー本と等しく読んでてしんどい部分もありました。
とは言え、著者のモットーでもある「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」という言葉には目を覚まされた気分になりました。著者曰く、野心を持つことのできる人というのは「自分にあたえられた時間はこれだけしかない、という考え方が染み付いている人」だと。
30代になって生活が安定してくるとどうも守りの姿勢になってしまい、20代の頃の「野心」がどんどん薄れていってる自分にとっては目から鱗が落ちた一冊でした。世代間や価値観の違いを感じつつも、「人の一生にはほんの短い時間しか与えられていません。どのように生きていくかということを真剣に考えるのは、充実な人生を送るために不可欠」という著者のメッセージは心に重く響きます。
今の生活に満足しながらも、心の何処かで”ここで満足してていいのかな?”と思っている人にとって励みに本だと思います。