ミャンマーに関する本を何冊か読んだ中で一番ヒットだったのがこちらの”未知なるミャンマー”。というのも、著者の”ビルマ王朝も英国(統治時代)も軍政も...。どっちもどっちであり、因果は巡る。一方が「悪」で他方が「善」と決めつけられるわけがない。善は悪なり 悪は善なり”という見方に共感したからです。
メディアでは今年の補欠選挙でスーチーさん率いる国民民主連盟が圧勝し、ようやくミャンマーにも明るい未来がやってきた!的な描かれ方をされがちですが、国が開かれたことで少数民族の伝統や文化による多様性や独自性が薄まり、グローバルスタンダードへと向かうのは果たして良いことなのかどうか...悩ましい。国が閉ざされているが故に守られているものもある...というのはキューバを旅した時にも感じました。なら、日本も江戸時代からずーっと鎖国続けてれば良かったのか?と考えると...やっぱり今の方が良いと思う面もあれば、豊かさと引き換えに失ったものもある気がする。。
本の中で面白かったのが、ミャンマーが占い大国であること。庶民が占い好きというレベルではなく、政治も占いで左右されてる点。例えば、「女性政権が誕生する」と占師に言われたら大マジメで軍幹部が女装姿を披露したり、ラッキーナンバーのために使いにくい変な紙幣を作ったり...。世界の政情を宗教だったり、利害関係や欲望が左右していることが多いですが、ミャンマーの場合、占いが大部分の要素を占めてて、ある意味微笑ましいような。。
ミャンマー旅行を手配した時、現地の旅行社から支払いの際、米ドル札の使えない札番号や、お札の汚れ具合によっては使えないものがあると知らされ、”汚れてようが、新札だろうが、そのお札の価値は変わらないんじゃないの!?”と疑問に思い、しかも札番号なんて、”今まで気にしたことないし!”って感じでしたが、それらの疑問についても本書で触れられてました。疑問への答えとしては、ミャンマーでは今も北朝鮮が製造したとされる米100ドル札の偽札”スーパーノート”が話題になり続けていること、また、それを利用してか両替商が交換紙幣にケチをつけて交換比率を悪くしようとしているケースもあるそう。。旅行者にとっては面倒なだけの話ですが、お国の事情や背景が直に感じられるとちょっと嬉しかったりもする。
掘れば掘る程、面白みが出てくるミャンマーです。